先日姫路レザーの多脂革について記載させて頂きました。
http://tavaratmens.blogspot.jp/2015/04/blog-post_10.html
これはいわゆる革の「なめし」という加工方法についての記事だったんですが、今回は革の種類の1つ、コードバンについて記載させて頂きます。
コードバンという名称を、なんとなく耳にしたことはあると思いますが、それがどういった革かというと、あまりご存じないのではないでしょうか?もしくは「馬の革のことでしょ?」という範囲しかご存じない場合も少なくはないのでしょうか。
そんなコードバンについては以前、FBにも投稿をさせて頂きました。
ここの見出しにも書いておりますが、そう、コードバンとは馬のお尻の部分の革です。
通常の革のように、表面部分の革を使用するのではなく、表皮を少しずつ削っていくと現れる厚さ2mmほどの「コードバン層」のみを使った革です。
ですから「馬の革」というのはもちろん正解なのですが、そのほんの一部、お尻の部分の限られた部位からしか取れないことをご想像いただくと、その希少性を想像できるかと存じます。
この 「コードバン層」は、コラーゲン層が整然と縦に並んでいて、その緻密なコラーゲン組織が表面となっているため、滑らかできめが細かく、かつ強度の強い革となっています。
そんなコードバン。素材の原皮自体がほとんど出回らない、数量の限られた貴重な革ですが、コードバンのなめしを行うことのできる会社も非常に少なく、先日の多脂革のようにピットで植物タンニンなめしを行っている会社は現在(2015年4月現在)世界で3社のみとなっています。
その中の1社が姫路市にある有限会社新喜皮革です。
新喜皮革社では、約10ヶ月もの期間をかけて、コードバンを仕上げています。 ヨーロッパにて原皮を選定し、それを日本へ運送したのち、4ヶ月の間冷蔵庫で寝かせます。 この4ヶ月は塩によって原皮を柔らかくするために必要な工程です。
そこから原皮を処理し、塩分や脂肪分を除去。前なめしを行い、さらに2~3ヶ月熟成させ、 さらに本なめしを行います。
本なめしは先日ご紹介した多脂革と同じくピット槽にて植物タンニンを浸透させます。その期間はおよそ1ヶ月。 そしてさらに1枚1枚しっかりと乾燥させて、ここから染色を加え、コードバンは完成します。
このように、素材自体が非常に希少価値の高いもので、さらにそれを10ヶ月もの長い期間をかけて作成するわけですから、商品自体もとても値段の高いものとなります。 それでも、このコードバンにはその値段に見合った良さがございます。
独特の艶、光沢、丈夫さ。そしてしっかりと作り上げられたコードバンは見た目の硬質感とは裏腹に、適度な柔らかさがあります。
その質感、希少性、採取方法など色々な理由から、コードバンは「革のダイヤモンド」「キングオブレザー」などと呼ばれています。
最高級の新喜皮革社製コードバンを使用したアイテム、ぜひ一度ご体感下さい。
TAVARAT 山本
【現在当店で取り扱う商品の中で、コードバンを使用した製品は以下の2点です。 】