日本一くどい商品説明のメンズ雑貨店TAVARAT。ブログもくどく長く製品へのこだわりを書いてゆきます。

多脂革とはどんな革なのか?

4月3日の記事で、姫路レザーのベルトをご紹介させて頂いた際に、ベルトに使用している革は「多脂革です」とご紹介をさせて頂きました。

tavarat.hatenablog.jp



そのあと、多脂革って何?というご質問を頂きました。前回の記事でも少し触れさせて頂いておりましたが、もう少し詳しくご説明をさせて頂きます。

まず革についてから簡単にご説明をさせて頂きます。
革は、その素材である「皮」を加工したものを指します。動物から剥いだ状態の原皮は、そのままにすれば腐ってしまいます。ですので革が腐ったり変質したりしないように、「なめし」という加工を行います。(革といっても色々な種類の動物から作られたものがございますが、今回のお話は牛の皮より作られる革についてとなります。)

このなめし工程は、主に下記の2種に分かれます。

1つが塩基性硫酸クロムを使用した「クロムなめし」です。
 現在流通している革のほとんどはこの製法でなめされたものです。
ドラムを使用し、大量に短期間でなめすことができ、また後に示す植物タンニンより薬剤が安価なため、多くのタンナー(皮革業者)がこの製法をとっています。現代の流通に一番沿った加工法といえます。
仕上がる革の特徴としては色の変化が少なく、軽くて柔らかく、耐熱性のあるものとなります。


もう1つが植物タンニンを使用した「タンニンなめし」です。タンニンとは植物の渋などに含まれるポリフェノールの総称です。この植物タンニンによってなめす製法は、古来より皮を保存・加工するために行われてきた製法です。植物タンニンによってなめされた革が、いわゆるヌメ革と呼ばれます。
仕上がる革の特徴としては硬くて丈夫で、 ハリ・コシがあって型崩れしにくいという特徴があります。そして、植物タンニンが日焼けや油分を吸収しやすいという特徴から、経年変化と呼ばれる色の変化が大きく、持つ人それぞれの使用の仕方や環境によって独特の変化を経るため、「革を育てる」という楽しみができるのも大きな特徴です。

このタンニンなめしですが、これも主に2つの製法に分かれます。
自然原料を使用するタンニンなめしは、本来非常に時間と労力、そしてコストをがかかる製法になります。そのため製品として流通させることは非常に難しくなります。そこで、クロムなめしと同じくドラムを使用し、短期間で強制的にタンニンを原皮に浸透させることにより、コストを抑えることができます。ただ、強制的になめすことで革の繊維がほつれるといった強度の低下があるといわれています。

一方、タンニンなめしの中で昔から行われている製法が「ピットなめし」と呼ばれる製法です。

 

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上の画像がピットと呼ばれるタンニン槽です。(当店が使用させて頂いている姫路レザー 多脂革を製造されているタンナーさんの写真です。)

この槽に、長期間浸けこむわけですが、もちろん漬け込んだまま仕上がるまで置いておくという単純な作業ではございません。濃度の薄いタンニン槽から徐々に濃いタンニン槽へ原皮を移し、ゆっくりと時間をかけてタンニンを浸透させてゆきます。そのタイミング、濃度、技術と経験を要する難しい製法になります。

ドラムなめしは繊維をほぐし強制的にタンニンを浸透させ短時間で革の製造が可能ですが、ピットなめしには非常に長い時間と手間がかかるために、ピッとなめしを行うタンナーは徐々にその数を減らし、国内でも世界的にも大変希少な存在となっております。

ピットなめしには設備(場所)と手間暇(人、コスト)そして非常に長い時間が必要なため生産数を増やす事は困難です。その希少性も大きな魅力となっております。

この様な方法で革を作る理由は、この方法でしか出来ない優れた特徴があるからです。
ピットなめしの革は皮の繊維をほぐさず、原皮をあまり動かさずにじっくりと時間をかけてタンニンを浸透させていくため、堅牢で型崩れしにくい特徴を持ちます。


さて、長くなりましたがここからが多脂革の説明となります。
ピットなめしは非常に時間がかかると書かせて頂きました。どれくらいの期間ピット槽に浸けこむかというと、一般的なピットなめしのヌメ革で約 3週間~1ヶ月という期間になります。

これだけでもかなりの長期間なのですが、多脂革は約40日から2ヶ月と、さらに長い時間をかけて植物タンニンを浸透させております。通常のヌメ革よりもタンニンの含有量が高く、それによって繊維が絡み合って、適度な柔らかさを保ちながら更に強度の強い革が出来上がります。

この多脂革は昔から工業用の革ベルトなどに使用されてきたそうです。そのことからも強度の強さがわかります。


まだまだ説明し足りない部分もたくさんあるかと思いますが、簡単にご説明させて頂きました。ほんの少しでも多脂革の希少性や特徴などが伝われば幸いです。こういった貴重な革が国内に残っているのも、数少ないタンナーさんがその技術を受け継ぎ守ってこられたからです。当店としましてもそういった貴重な革を使わせていただけることに感謝し、その質感を多くのお客様に実感していただければ嬉しいです。


【現在当店で取り扱う商品の中で、こちらの革を使用した製品は以下の4点です。 】

 

 

 

 (※ブラック、ダークブラウンのみ)

 

 

 

 
なお、ベルトは表地が今回説明いたしました姫路レザーの多脂革で、裏地が同じく姫路で作られたクロムなめしの本革となります。多脂革の良さと、クロムなめし本革の良さを組み合わせ、高級な質感のなかに、使いやすさを兼ね備えた仕上がりになっております。
それぞれの商品の詳細は、リンク先の商品ページをご参照下さい。



TAVARAT 山本